8月2日、中野ブロードウェイで何かが起きた。

080401.JPG 消毒液の匂いがツンと鼻についた。
中野ブロードウェイの四階、人が二人並んで歩くとふさがってしまうほどの狭い廊下の突き当たりに、その扉はある。

13時の開店に少し遅れて向かったが、その時点で長い行列が出来ていたようだ。
整理券を配布され、どこで時間を潰そうかと悩みながら、開け放たれた扉からこっそりと中をうかがうと、店内は「何か」を求めてさまよう人にあふれていた。
店の奥で自らカウンターキッチンでコーヒーを用意するオーナー、渡辺浩弐氏のその不敵な笑みがこのイベントの難しさを物語っているようだ。
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やっと順番が回ってきたと喜ぶ間もなく、店内に一歩足を踏み入れると同時に、床に残された事件の痕跡が目に入る。
店内には雰囲気のある小物があちらこちらに散らばっていて、そのどれもが「ここであった何か」を静かに主張していた。

イベント参加の証明書となるシールを身に着けた人たちが、せわしなく店内を捜索していた。
意味ありげに陳列された本を手に取り、誰にも見つからない様にメモ書きをしている姿が多くみられる。
鑑識が調査をしている途中の殺人現場にしか見えない店内で、
のんびりとコーヒーを啜っている光景がシュールだ。
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KOBOCAFEには、講談社BOX文庫に所属する作家が書き下ろした小冊子付きのコーヒーセットがある。
そして今日のこの小冊子には「何か」謎が隠されているという事だ。
どんな些細な情報でも見逃さないように、メモ帳を広げながら冊子を飾る文字を読み解いていく。
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曰く、これはKOBOCAFEで刺殺されたミステリー作家「物理のK」が生前最後に書き残した配布用の小冊子だというのだ。
そして彼はその最期の時にダイイングメッセージをこの冊子の「15ページ目」に残した。
しかしその15ページ目は加害者に持ち去られてしまったらしい。
確かに手元にある冊子には、15ページ目がなかった。
結局その15ページ目は見つからないまま、胡散臭い探偵のこじつけにしか見えない推理によって容疑者逮捕となってしまった。

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そして遂に、このイベントの目的が明かされる。
犯人が持ち去った「15ページ目」を探し、「真犯人」を暴けということだ。
冊子の最後の一行、「カップの裏を見ろ」という文字にはっとして、まだ半分ほど入っているコーヒーのカップを持ち上げ下から覗き込む。
周りで何人かがまったく同じ体勢を取っていた事が面白かった。
そこには小さな付箋が貼ってあり、「アリスを探せ」と書き込まれていた。

奇遇にも、私の目の前にそれがある事に気付く。
店舗のディスプレイにしか見えなかった、タイトルに「アリス」と付いたCDのケースをあけると、そこには次の指示が書いてあった。
ぐるっと店内を見回すと、あちこちに「アリス」が目に付く。
有栖川有栖の本にまでそれがあった時は笑った。
これは長丁場になりそうだな、と思いながら若干ぬるくなったコーヒーを啜る。
皮肉にもその日のブレンドは「探偵が事件解決後に美少女秘書を従えて飲むイメージ」との事だった。
15ページ目を無事に見つけ出した暁には、窓辺でもう一度そのイメージさながらに味わおうと決める。
美少女秘書のアテが無いのだけがただ残念だった。
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やっと解答にたどり着いたのは、どれぐらいの時間が過ぎた頃だっただろうか。
数名の優秀な探偵達と情報を交換しながら、ついにその決定的な証拠を手に入れた私は、失われた15ページ目を手に入れることが出来た。
そこにはしっかりと、文字通り真犯人の「手がかり」が残されていた。

その詳細はここで話すことは出来ないのが残念で仕方ない。
だが落ち込む必要はなさそうだ。
渡辺浩弐氏はすでに「次は何をしようか」考えている段階なのだから。

更新日時:2008年8月 4日 21:50 | トラックバック(0)

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