日本初の商業ARGキャンペーンの始まりと終わり

この記事はMEDIA FACTORY社が展開するARGキャンペーン
「名探偵コナン カード探偵団」のプレイレビューです。
その中にはゲームの核心や結末について書かれている場合があります。
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果たしてARGだったのか

未だ定義のない「ARG」というジャンルにおいてそんな事を考えるのは愚かしいと思う。
だがあえて端的に言うのなら、これはPBM(プレイ・バイ・メール)で、ARGとは違うマーケティング・キャンペーンであったと私は考える。

ロンドンに拠点を構えるマインド・キャンディ社のリリースしたARGキャンペーン、「パープレックス・シティ」は今後のARG界を大きく揺るがすARGキャンペーンだった。
それ自体についての解説は別途参照されたいが、今回メディアファクトリー社のリリースした「名探偵コナン カード探偵団(以下カード探偵団)」のゲームシステムはそれに良く似たシステムを採用していた。

2008年4月19日、日本の誇る有名私立探偵と高名な刑事(原作ファン垂涎の魅力的なキャラクター)達が制作に協力したという最新トレーディングカードゲームがついに発売された。
彼らがこれまでに体験した様々な難事件を追体験できるという新機軸を打ち出したカードゲームだったが、実はそのカードにはキャンペーン開始と共に行方不明になったカード探偵団スタッフからの秘密のメッセージが隠されていて、プレイヤー達はその謎を解明していく内に、ミステリアスな怪人「夜叉烏」の存在に近づいていく事となる。

ここまでを聞いてドキドキとしたARGファンは多かったはずだ。
自身、キーボードのF5の印字が薄れるほどに公式サイトの更新を待ち遠しく思っていた。
それが何故「ARGたりえない」という印象になってしまったのか。
多くの人が感じているであろうその理由はきっと、「一方通行」だった事だろう。

ARGと双方向サービス

私はARGとは双方向サービスであると考える。
プレイヤーはシナリオ中のキャラクター達から情報を受け取り、その情報から新たな発見をして、その発見をもってキャラクターに働きかけることで更に新しい情報を得る。
それがARGの醍醐味であり、代替現実たる所以であると確信しているからだ。

今回のカード探偵団ではキャラクターとプレイヤーの間に超え難い壁がはっきりと見えていた。
定期的に「名誉探偵からのタレコミ」という形でメールが送られてくるのだが、それはプレイヤーが知るはずも無い情報であったり、つい1時間前まで存在すらしていなかったWEBサイトのURLだったり、その行動にリアリティが無い。
そのタレコミもキャラクターから一方的に送られてくるもので、プレイヤーがキャラクターへ情報を提供する事は出来ない。
ゲームが始まってから2週間程で早々に100種類のカードを全て集めきった探偵達は、後は不定期に送られてくるプチシナリオを2ヶ月間読み続け、ピースの足りないパズルを埋める事しか出来なかった。

PBMとしての成功、そして今後の展開の予想

ここまで来てこんな事を言うのは気が引けるが、カード探偵団はPBMの新しい世界を開拓した素晴らしいゲームである。
今まであったPBMの問題点として挙げられていたのは、そのジャンルの一般認知の足りなさと待ち時間の長さ、そしてコストパフォーマンスの悪さだろう。
だがカード探偵団は難なくそれらをクリアした。
PBMの認知度の低さは原作の人気でカバーし、進行にかかる待ち時間はカードゲームとして遊ぶことも、推理に当てる時間とする事も出来たし、殆どのプレイヤーがクリアまでにかけたコストは一般的なPBMプレイヤーが羨ましがる程安上がりだったと思う。

今回のキャンペーンは、我々にとっても企業にとっても、重要な試金石となったに違いない。
版元であるメディアファクトリー社がこの先、このシリーズをARGとして展開していくのであれば、更なる研鑽が必要だろう。
多くのARGファンは、このキャンペーンによって若干ナーバスになっているだろうからだ。
しかしPBMとして展開していくのならば、このまま刷新と要素の追加をしていくだけで一つの新しいゲームと認知されていくのだろう。

今後の展開が非常に気になるゲームだ。
もしもここまでがメディアファクトリーの狙いであるとしたら、現代の孔明達に盛大な拍手を送りたいと思う。

ARGFAN.COM

更新日時:2008年6月25日 14:44 | トラックバック(1)

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